あかゆ小児クリニックが新型コロナウイルス感染症の「診療・検査医療機関」になれないわけを掲載しています。
新型コロナウイルス感染症の「診療・検査医療機関」とは

第2類感染症である新型コロナウイルス感染症の検査を通常の医療機関で行うためには、県と医療機関との間で事前に「行政検査に関する事務契約」を締結することが求められます。締結するとPCR検査費用等は公費負担になります。契約を締結し検査することを認められた医療機関を「診療・検査医療機関」と呼びます。2020年末くらいから制度が始まり、当初、どの医療機関が契約しているかは公表されていませんでしたが、最近、県のホームページで公表されるようになりました。
この契約を締結するためには「疑い例が新型コロナウイルス感染症以外の疾患の患者と接触しないよう」にすることが医療機関側に求められます。つまり、時間的もしくは空間的に新型コロナウイルス感染症が疑われる患者と他の患者を分けなければならないということです。

小児科医院における「診療・検査医療機関」

発熱患者・上気道炎症状の患者が来院患者の多くを占める小児科医院でそのようなことが可能でしょうか?

  • 「時間的に分ける」ということは、よく言われる「発熱外来」の時間をつくるということです。発熱患者の診察はある時間帯だけにして、それ以外の時間は発熱患者は診察しない、という方法です。「発熱外来」を作ることで補助金が交付されます。
    高熱が出てすぐに診療を受けたいという子どもさんが来院したときや、クリニックに入って検温して初めて発熱していることがわかる場合などに「今は発熱外来の時間でないから後から来てください」と言えるでしょうか? つまり「時間的に分ける」ということは小児科医院では出来ないと考えます。
  • 「空間的に分ける」というのはどうでしょうか。
    玄関は一つしかありません。診察室も一つしか使えません。待合室も体育館ほどの広さはありません。導線を院内で分けることは無理です。
    「駐車場に発熱患者診察用のプレハブを作る」というのはどうでしょうか。そのような余裕は金銭的にも敷地的にも労力的にもありません。「発熱患者は駐車場の車の中で診察する」というのはどうでしょうか。そのような場所で私にはまともな診察は出来ません。
  • 当然、来院者にはマスクを付けてもらう、手指のアルコール消毒をしてもらう、密を避ける、換気をする、詳しい問診をする、等々、院内感染を防ぐためにできるだけのことはしています。しかし、「契約」する条件を満たすように小児科医院で新型コロナウイルス感染症が疑われる患者を他の疾患の患者と分けることは無理だと思うのです。無症状・発熱していない新型コロナウイルス感染症の方もいます。そのような方はどうするのでしょうか?
    県が主催した「診療・検査医療機関」についての説明会では、主催者側から「小児科はこの制度の対象にはならないでしょう。小児の患者に関しては小児科関連団体が考えるでしょう」という内容の発言もありました。
  • 小児科医院で「診療・検査医療機関」になられている医療機関はたいへんなご苦労をして契約なされたと思いますが、以上のような理由から当クリニックは県と「契約」を締結したくてもできないのです。「そんなにまじめに考えなくても」とおっしゃる方もあるかもしれません。しかし、新型コロナ感染症はいつどこで発生するかわかりません。もし、契約条項を厳重に遵守せずに発生してしまったらどうなるでしょうか。
    「診療・検査医療機関」にならないのは、決して、新型コロナウイルス感染症を院内に持ち込みたくないから、とか、罹患したくないから、というわけではありません。それでしたらそもそも発熱・咳嗽の子どもたちの診療などできません。
    経営的にも「診療・検査医療機関」でないということでいろいろと不利益を被っています。
    「新型コロナのPCR検査分だけ自費で徴収すれば?」というご意見もあるかと思われますが、それは日本の保険診療で厳に禁じられている「混合診療」になってしまうのできません。また、自費分をいただかず医療機関の持ち出しにするということも「療養担当規則」に抵触し行えません(検査キット・外注検査費も高額です)。(ちなみに、これらの考え方は、保険診療で認められていない1歳以上のRSウイルス感染症・3歳以上のノロウイルス感染症の迅速検査にもあてはまります)
    今後、規則が変わって当クリニックのような小児科医院でも検査が行えるようになるのを期待しています。
 
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